就職しやすい?行政書士と司法書士の兼業事務所に多い2つの傾向
行政書士を目指している方で、行政書士と司法書士の兼業事務所への就職を狙う場合がありますが、僕はあまりオススメしません。
司法書士の方が行政書士より儲かってそうだから、兼業事務所の方が仕事が多そうだからと思うかもしれませんが、必ずしもそうとは言い切れないからです。
その理由を説明します。
そもそも、なぜ、兼業事務所はこんなにも多いのか?
行政書士と司法書士の兼業事務所を、近所やインターネットでよく見かけると思います。
司法書士以外にも、税理士や社労士との兼業事務所もありますが、圧倒的に多いのは司法書士との兼業で、その数は行政書士専業の事務所より多いのではないかと思うくらいです。
では、兼業事務所の先生はみんな、行政書士試験と司法書士試験に受かって事務所を始めたのでしょうか?
たしかにそういう方もいます。ですが、そうでない方もたくさんいます。
それは、公務員OBです。
行政書士は国家公務員や地方公務員で行政事務を17年以上経験すると試験をパスしなくても資格がもらえますし、司法書士は裁判所事務官や法務局の職員などが10年以上の経験で、やはり試験に合格しなくても資格がもらえます。
たとえば、法務局の職員は、17年以上勤めると行政書士と司法書士、両方の資格がもらえちゃうわけです。なので、行政書士と司法書士の兼業事務所は、法務局職員のOBが退職後に始めるという所が多いです。
試験勉強を頑張ってる身からすると、「きったねー」と思う話ですよね。こういった制度を「特認」と言いますが、同じような話は税理士にもあって、税務署の職員が退職した後、税理士として開業するなんて話はゴロゴロあります。
そして、悪いことに、そういった公務員OBの方が経営している事務所ほど熱心に仕事をしていません。なぜなら、彼らは退職金や年金で生活が保障されているので、今さら頑張って仕事をする必要性がないからです。行政書士も司法書士も、お小遣い稼ぎ程度にやっているという方が少なくありません。(僕は、こういったやる気のない行政書士や司法書士が業界の足を引っ張っていると思っています。)
ここから分かることは、兼業事務所だからと言って必ずしも儲かっているわけでも、仕事があるわけでもないということです。
行政書士と司法書士との兼業事務所は、どっちが本業なのか?
僕の感覚からすると、行政書士と司法書士の兼業事務所は、行政書士が副業で本業は司法書士であるというパターンがほとんどです。だから、行政書士を目指している方には、兼業事務所をおすすめできないのです。
司法書士事務所の仕事は登記です。登記には相続などの不動産登記や会社などの商業登記があります。こういった登記に必要な契約書や遺産分割協議書、定款などの書類作成が行政書士業務なので兼業するというケースが多いです。許認可業務と言えるのは農地転用くらいで、割合で言えば、司法書士業務が8割の行政書士業務が2割、下手すると1割といったところでしょうか。
行政書士と兼業している司法書士先生のブログにも同じことが書いてありましたので参考に
http://www.shihou-syoshi.net/yuriblo/2012/01/post-346.html
司法書士の兼業事務所で、登記には関係ない業務、たとえば建設業許可や風俗営業許可などの許認可業務に力を入れている所はあまりないというのが僕の感覚です。
昔、行政書士を兼業している本業司法書士のおじいちゃん先生に『行政書士だけじゃ食べていけないから弁護士を目指せ』と言われたことがありました。だったら、あんたも行政書士なんか辞めろよと言いたいところでしたが、それくらい行政書士は兼業者から軽く見られているわけです。
なので、兼業事務所の場合、ホームページなどで取扱業務をよく確認して行政書士業務にも力を入れているか確認しましょう。
本業が司法書士の兼業事務所では行政書士業務のスキルはほとんど身に付かないでしょう。
同じ行政書士事務所でも、どんな事務所で働くかによって、あなたのキャリアはまったく変わってきます。