行政書士試験にあと1点で落ちた僕に親父は言った
1.過去最低の合格率の試験に1点及ばず・・・
僕は、行政書士試験に3度目の受験で合格しました。
1発合格する人も多い試験ですから、決して優秀じゃありません。
一番辛かったのは2度目の受験で不合格になったときでした。
合格率は過去最低の2.62%
その試験に合格点まであと1点というところで落ちてしまったのです。
悔しい・・・のに涙は出てきません。
合格に手が届く寸前で落とされてしまい、発表があった正月から虚脱感でいっぱいになってしまいました。
でも、落ち込んでばかりもいられない事情がありました。
当時、僕は大学4年生。
ろくに就職活動をしないまま、行政書士になることを夢見て試験勉強に打ち込んでいたのです。
民間企業は1社も受けず、唯一、地元群馬の警察官試験だけを受け、内定をもらっていました。
迷いました。
このまま警察官になるべきか、それとももう一度行政書士試験を受けるべきか。
次の試験から新試験制度に変わり、内容が大幅に変更されることが決まっていました。
受けても、合格できる保証はありません。
警察官になれば公務員で安定した人生を送れるかもしれない・・・。
人生の大きな分かれ道に僕は立っていました。
そんなとき、僕の親父の一言が背中を押してくれました。
2.医者になる夢を諦めた親父が僕に言った一言
僕の親父は、昔、野口英世に憧れて医者になることを夢見ていました。
大きな病院の医者ではなく、小さな町病院の医者になりたかったそうです。
大学の医学部に行こうとしていましたが、現役で合格することはできませんでした。
でも家が貧しくて、受験浪人することができず、医学部に受かっても学費を払うだけのお金がなかったといいます。
親父は医学部には入れなかったものの、有名大学に進学し、その後大企業の会社員になりました。
でも、親父は医者になることを諦めきれていませんでした。
そして、自分の果たせなかった夢を子どもの僕に託そうとしたのです。
僕が小さい頃から医者になることを望み、期待していました。
昔から僕は親父が苦手でした。恐いしお堅いし、正直好きじゃありませんでした。
でも、親父の期待に応えてあげたいという気持ちもありました。
親父にとって悲劇だったのは、自分の息子が自分の夢を託せるほど優秀ではなかったということでした(笑)
親父は単身赴任で家からいなくなり
高校に入ってから部活ばかりで勉強嫌いな僕の成績は悪くなる一方。
もう、親には期待されていない
ということは何となく気づいていました。
将来の目標を持っていなかった僕は
小さい頃から親にやらされていた剣道の経験を活かして、『警察官になる』という大義名分を掲げ、大学の法学部へ進みます。
でも、ある時点で気がつきました。
『今までの人生で何一つ、自分のことを自分で決断したことってなかったんじゃないか?』
ちょうどその頃、行政書士という仕事を知ったのです。
あと1点で試験に落ちた僕に親父は言いました。
『ここで諦めたら、お前は一生後悔するんじゃないか?』
その言葉にハッとしました。
僕は、警察官の内定を断り、得体の知れない新行政書士試験へのリベンジに向けて勉強を再開。
その翌年、合格することができたのです。