夫が突然「会社を辞めて行政書士になる!」と言い出したら・・・【2019.3.21改訂】
家庭を持ちながら士業を目指す方は、家族の理解を得ておくことが大事です。プライベートの内、相当な時間を勉強に費やすわけですが、大変なのは受験する本人だけではありません。
今回は、「行政書士を目指している人」ではなく、行政書士を目指す人を支える家族の目線で書いてみたいと思います。
特に受験生の奥さん。
突然会社を辞めると言われた驚きと、「行政書士って何??」という疑問と不安の三重苦に陥ってしまったのではないでしょうか?
そんなあなたの質問に答えるような形で今日は書いてみようと思います。
途中、厳しいことを書いていることもありますがご容赦ください。
では早速、、、
Q1:夫が行政書士になれたとして仕事はあるのでしょうか?辞めてしまう人が多いみたいで心配です・・・。
結論から言うと仕事の需要はあります。ただし取れるかどうかは別の話。(ぐふっ)
一般の方は、行政書士が何の仕事をしているかイメージがわかないと思います。
それもそのはず。ほとんどの行政書士は企業を相手に仕事をしているからです。
企業と言ってもピンからキリまでありますが、社長と奥さんだけの小さい会社から従業員が数十人規模の会社をお客にしているのがほとんどではないかと感じます。(特に地方は)
なので、大企業と仕事をする機会はあまりないですが、車庫証明業務では、トヨタや日産など誰でも知ってる会社から仕事を依頼されることも珍しくありません。
建設会社は建設業や産廃などの許可で多く関わることになるので、行政書士に馴染みがないという方の方が少ないのではないでしょうか?他にも行政書士は運送会社や介護事業所、医療機関など色んな業界のお手伝いをすることができます。
食えない行政書士になりやすいのはこんな人
なので、ニーズはあるのですが、資格業はビジネスである、という当たり前のことを理解せずに開業して失敗する方が多い業界なのです。
『行政書士として独立する』=『起業する』なのですが、この意識が低いままに「なんとかなる」でやって失敗する人がとても多いのです。しかし、これでは失敗して当然です。戦う前から負けることが決まっているようなものですから。
それと、こんなことをご主人が言っていたら要注意です。
『行政書士になって、困っている人を助けたい』
とても素晴らしいですが、残念ながらこういった気持ちが強い方はビジネスに向いていません。どちらかと言えば、ボランティア向きです。一言で言えば『いい人』。
こういう方は、経済的に弱い方の力になりたいと頑張るものの、労力と報酬が見合っていなかったり、お金を頂くことを二の次に考える傾向があります。
すごく嫌なことを書いていると自分でも思います。なぜなら、僕自身が23歳で行政書士になったばかりの時、まったく同じことを言っていたからです。やっぱり、その時は『食えない行政書士』でした。
『誰かを助ける』ことは、自分自身に力がなければできません。
自分自身が経済的弱者なのに、自分や家族を犠牲にしてまで他人に尽くすことが果たして正義なのでしょうか?
行政書士の8割が年商500万円未満と言われるシビアな世界で、はじめから『弱い立場の人を救いたい』と言っているようでは正直不安です。漫画やドラマの見過ぎと言わざるを得ません。そんなに人を救いたいなら医者か弁護士になった方が良いと思います。
行政書士でも仕事を通じてたくさんの人を救えます。でも、
もっと現実を見てくれ!まずは、あなたが稼いでくれなきゃみんなが困るんだよ!
と言いたくなります。
結局、事務所をつぶせば家族を困らせるだけでなく、依頼してくれたお客さん達もまた新しい先生を探さないといけません。
士業はあくまでビジネス。
この感覚をご主人がしっかり持っているかどうか、よく見極めてください。
Q2:行政書士はどこかで修行してから独立するものなのでしょうか?
ほとんどの行政書士は、試験に合格してから実務未経験でいきなり開業します。
なぜなら、この業界の求人自体がとても少なく、求人があったとしても1人しか採用しなかったりと非常に狭き門だからです。確率的には試験に受かるよりもはるかに難しいのです。
なので、今は大活躍している行政書士の先生でも、はじめは右も左もわからないド素人だった
というのはよくある話です。
行政書士事務所の職場はどんなところか?ということに関してはこちらに詳しく書いてあるので参考にしてください。
gyouseishoshikyuujin.hatenablog.com
Q3:司法書士の資格も取ってダブルライセンスでやれば仕事も増えるでしょうか?
僕の先輩から聞いたことがあります。
夫が税理士で妻が社労士の事務所がある。でも全然食えてない。
資格をたくさん持っているというのは強みです。
ですが、資格がお金を運んできてくれるわけではありません。
このことも前に書いたことがあるので読んでみてください。
gyouseishoshikyuujin.hatenablog.com
Q4:やはり廃業率の高さが気になります・・・。
行政書士になって開業しても9割が廃業すると聞いたことがあります。
ですが、これは行政書士に限った話ではありません。
会社を作って起業しても、10年以内に9割が廃業するそうです。
ここから分かるのは、行政書士に限らず、もはや資格業が安泰ではなく、一般企業と同じ競争にさらされている、ということを意味しています。
それでも僕らの業界はまだまだ甘いです。
なぜなら、「資格がなければ仕事をやってはいけない」という法律でガチガチに守られているからです。なので、他の業界に比べればライバルも少なく、同業者同士が仲良く共存しているという世界です。一部の先生は同業者を相手にせずこっそり儲けていますが。
それと、開業時にかかる費用も他の業界より全然安いです。むしろ無いに等しい。
自宅で開業するのであれば、パソコンとプリンターがあれば仕事はできます。
もうすでにありますよね?
あとは行政書士会に登録するときに30万円くらいかかるので、この出費が一番でかいと思います。
飲食店や美容室を始めるのとは比較になりません。あちらはお店を開くだけで1000万円以上の借金をするわけですから。
この業界は恵まれてます。仮に失敗してゼロになることはあっても、マイナスになることはないでしょう。
Q5:頑張ろうとしている夫を応援してあげて良いのでしょうか?
ご主人もご主人なりに考えて資格を取ろう、開業したいという思いに至ったはずです。まずは、ご主人の気持ちを大事にしてあげてください。
「食べていけないからヤメて」
これはタブーです。
なぜなら人は障害があればあるほど燃える性質を持っているからです。
その障害にあなたがなってはいけません。
それと、起業するときにありがちなのは
「他人はダメでも俺は違う」という意識の方が多いので注意です。
特に男の人は夢に生きようとする方が多いので、現実的に考える女性からすると心配で仕方ないでしょうが、とにかく「食えないからヤメろ」はタブーです。ご一緒に。
食えないからヤメろはタブー。
行政書士をはじめ、士業を目指す方は勉強熱心な方が多いです。そこを目指すこと自体は向上心の表れですから良いことだと思います。
いずれにしても、資格がなければ開業できませんから、まずは合格するまでの様子をみてあげても良いのでは?
僕の親もはじめは「そんな仕事聞いたことない」とか散々に言ってましたが、僕が頑張っている姿を見て、知り合いの行政書士のところに連れて行ってくれたり理解してくれるようになりました。
だから、すぐにとは言いませんが、あなたが理解者になってくれればご主人も心強いと思います。
ちなみにウチの妻の場合は、、、
ちなみに、ウチの妻は僕が独立することに全く反対しませんでした。
反対しないどころか、いつまで経っても独立しないでウジウジしていた僕に「早くやりなさいよ」と言ってくるくらいでした。
妻が全く反対しなかったからこそ、絶対に失敗できないと腹をくくれたと思います。
おかげさまで、今は会社員時代よりも良い暮らしができていますし、妻にも「独立して良かったね」と言ってもらえます。
僕を信じてくれた人に、これからもそう言ってもらえるよう、笑顔でいてもらえるよう、頑張りたいです。